こんにちは。
薬学系の大学院でバイオ研究をしているさんごろうと申します。
今記事では、研究室の選び方について紹介していきます。
これから研究室に配属されるという学生さんは、
「この研究室に決めている!」という方もいれば、
「どこがいいのかわからなくて困っている」といった方もいらっしゃると思います。
いずれにせよ、配属されるまでは不安がつきものですよね。
現在の私が所属している研究室の経験を踏まえて、
どういった観点で選ぶと良いのかなどを参考にしていただければ幸いです。
研究室の研究内容に興味を持つかどうか
自分が行こうか悩んでいる研究室が、
日頃どのような研究を行っているのかを知ることはとても大事なことです。
学部生の頃から受けていた授業や、
実習などでは感じ取ることができないような意外な研究を行っていることも多くあることでしょう。
そんな研究室の実情を把握するには、
研究室が主催している研究室紹介や、
座談会などに積極的に参加することが最も効率が良い手段になると思います。
その機会で耳にした内容が自分にとってどの程度魅力的なのかや、
数年間興味をもって研究を進められるものなのかどうかをじっくり考える必要があります。
とは言いつつも、正解などはありませんし、
興味関心は時間や環境に応じて移り変わっていくものが人間です。
1つの研究室だけが魅力的だなんてこともないと思います。
もちろん、「私の興味はここしかない!」と思うような研究があれば
その研究室に行くことをお勧めします。
「長年その研究について気になっていて文献を漁っていた」
「親しい先輩がいてその方がいる元で研究を進めていきたい」
「自主的に研究室に出向いて修行をしていた」
などの具体的な根拠があればなお良いです。
一方で、「授業の内容に興味を持っていた」という理由や
「実習の内容に興味を持った」などといった表面的な部分に惹かれていた場合には
単なる思い込みである可能性があります。
単なる思い込みなのか深い根拠を持っているのかの部分にも
十分に注意を払って決めていくことが大切です。
複数ある候補のうち、どうやって1つの研究室に絞っていくのか悩むことでしょう。
その際に、研究室が行っている研究テーマ全てに目を向けることがとても大切になります。
一般的な研究室は3個以上の研究テーマに取り組んでいることでしょう。
研究室を選ぶ際には、自分がいくつの研究テーマに興味を持っているかを気にとめましょう。
研究室が持つ研究テーマのうち、興味が引くものが多ければ多いほど
あなたに向いている研究室である可能性が高いと思います。
なぜなら、研究室で行う研究は自分のテーマだけを進めていけば良いのではなく、
他のメンバーが行っている研究テーマも一緒に考える機会が非常に多いからです。
もし仮にそのテーマに自分が興味を持てなかった場合、ストレスがたまりやすくなります。
そうした可能性を少しでも小さくするために、
興味ある研究テーマを多く持っている研究室に赴くことが大切なんじゃないかなと思います。
助教や講師、教授の人柄や教え方・教育体制
みなさんが研究室に配属されて最終的に得たいものはなんでしょうか?
研究を進めて論文化することで世の中に自分の意見を提示することを目指している方や、
研究職に就きたいなどと思っている方は多いんじゃないでしょうか。
その前提で話を進めていきますが、研究を論文化するためには研究室で培われた実験手技、
文章作成のノウハウ、論文がアクセプトされるための戦略・実験データの
取り方などを教わることが大事です。
その概念をいかに効率良く学ベるかどうかは研究室の教育体制に依存します。
例えば、学生に積極的に論文を発表させる方針の研究室であった場合、
論文化のノウハウやデータの取り方、研究テーマについては豊富に経験を積むことができるでしょう。
また、直属の上司が教育熱心かどうかも気にとめると良いです。
研究にはある程度の自主性が必要にはなりますが、
研究を進めていくには人から技術を学ぶことが不可欠です。
上司が学生を放任するスタイルであった場合には、
学生本人の実力やコミュニケーション能力に大きく依存することになるでしょう。
逆に、上司が手取り足取り教えスタイルの場合には、効率良く学習することができると感じます。
もちろん前者は放任される分自由な発想で実験を進めることができるというメリットがあり、
後者は実験の発想や時間を上司に拘束されやすいというデメリットが存在します。
そのどちらを優先するかは学生本人の判断になると思うので、
配属の際に何が大事なのかをよく考えて決めることが重要になるのではないかなと思います。
実験を行っている時の研究室のメンバーの表情
3つ目に気にするべきポイントは、研究室内のメンバーが実験を行っている時の表情です。
数年間一緒に過ごして研究を進めることになるので、
共に過ごしていくメンバーの素質は非常に大事です。
特に、バイオ系の研究は行う実験の多くがネガティブな結果になりがちなので、
日々を過ごすメンバーの明るさや仲の良さはとても重要な要素です。
その指標となるものが実験をしている最中のメンバーの表情だと思っています。
実験に対して嫌だなという感情を見せずに、
淡々とこなしているかどうかを確認するだけでも十分だと思います。
なおかつ、多くの方が活き活きと研究に励んでいる研究室はとても魅力的な研究室です。
ぜひ、実験を行っているメンバーの表情を気にしながら見学をしましょう。
研究室の雰囲気
4つ目に気にするべきポイントとして、研究室の雰囲気があると思います。
研究を進めていくといいことだけでなく、ストレスがたまることも生じてきます。
そんな不安がたまる状況では研究室の雰囲気で
そのストレスに対する感受性が大きくなるか小さくなるかが変わってきます。
研究をする傍で、サッカーや野球、バスケ、バドミントンなどの
スポーツやイベントを楽しむ環境があった場合、リフレッシュされやすいと感じます。
そのため、研究も自ずと進めやすくなるのではないかと思います。
しかし、そのようなリフレッシュが存在せず、
メンバー間のやり取りも疎遠であった場合にはストレスに対する感受性は高くなります。
最悪の場合には、こころが病んでいくことにもつながりかねません。
こうした意味で研究室の雰囲気はとっても大事になると考えています。
研究室の実績
気になっている研究室が著名な科学雑誌に論文を多く出しているなどの大きな実績があれば、
教育する側が良くサイエンスを理解しており、
学ぶ側にいる学生も効率よく科学的な思考を身につけることができるでしょう。
逆に、教育熱心を売りにしている研究室でも、
正しい方向に導くことができなければ意味がありません。
学生が行っている実験に対して、
論文化のための適切なアドバイスや修正から程遠い指示が多く出てしまえば、
学生とスタッフの信頼関係が揺らいでしまいます。
また、研究を進めるのに多くの時間を消費する結果につながる可能性も高いです。
こうした不幸を避けて、より良い研究人生を送っていくためにも、
実績のある研究室で研究を作り上げていくことが得策なのではないのでしょうか?
まとめ
人生の分岐点となる研究室選択ではいくつも気にすべき事柄があります。
本記事では、
について記載しました。
これらの条件をすべて満たす研究室は少ないのかもしれません。
そして、どの要素に優先順位をつけて研究室を選択していくのかは、
学生自身が人生を通して何を実現したいのかによると思います。
研究を極めたいのであれば1や2、5などを重視し、
研究室の仲間の雰囲気を重視するのであれば3や4などに重きをおくことになると思います。
いずれにせよ、研究室選択が今後の人生を大きく左右します。
どんな仕事をしたいのか、どんな技術を身につけたいのかを
よく考えて情報を集めておくことをお勧めします。
コメント